第65話
なんだかんだバスくらいは亜里沙と一緒にいられるかな、って甘い期待を抱いていたけど、亜里沙さまはもれなくペアの男の子と一緒に座っているみたい。
現実は、甘くない…。
空いている席を見つけて、私は森山に促され、窓側の席に座らせてもらう。
その間に森山は、私の大きな荷物を荷物置きに置いてくれていて。入るか心配だったけど、大丈夫だったみたい。
「ありがと、ね」
清潔感のある人当たりの良い香りを漂わせ、私の横に座った森山にお礼を言うと当然のように無視をした彼は、イヤホンをつけて眠る態勢を整えている。
窓の外を見ると、陸は見送ってくれるらしく、ガラスの向こうのすぐそこにいて。
同い年だったなら。
もし、陸の誕生日が1日遅かったなら。
もし、私の誕生日が1日早かったなら。
バスで隣に座ってくれていたのは、陸だったかもしれないのに。
いままでも、これからも、なにかがあるたびに、自分の運命を呪っていかなければいけないのかな。
涙を流すことはしないように、目の淵に、ぎゅっと力を込める。
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