第63話
森山が思いがけないことを言い出すから、焦って思いっきり私のバッグに手を伸ばすけど、身長差がありすぎて届かない。くそ~
「紗葉じゃ、これ座席の上に上げらんないだろ?」
「まあ…」
「俺が上げるんで。どうせペアなんで席となりだし」
「………!」
思わず、あーあーあー!!!と大声を上げたくなった。
一番言ってほしくなかったことを、一番知ってほしくなかった人に、さらっと伝えてしまった森山を正直ぼこぼこにしてやりたい。
「紗葉、ペア、男なんだ。やるじゃん」
陸の反応を伺うと、はじめは吃驚した顔をしていたけど、今はいつもの私のことをからかうときの楽しそうな表情をしている。
「じゃあ、バスまでは俺が持ってくよ。紗葉の見送りもしたいしな。そのあとは頼んでいいかな」
「はい」
森山は少し不服そうだけど、納得してくれたらしい。
5組のバスには、4台のバスの横を歩いて行かなきゃいけなくて。
陸と、森山。高い身長だけじゃなく、容姿も整ってて、しかも接点がないはずのふたりが、並んで歩いているのが目立たない訳がない。
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