第52話

「お前うるさくて眠れねえ」


「はあ?耳にティッシュでもつめとけば?」




亜里沙と楽しく話していると、後ろの席から、毎日恒例のクレームが入る。



このクラスの誰よりも、席替えを心待ちにしている自信があるのだけれど、なかなか実行してもらえない。




「あんたのせいで、毎日この席がストレスだわ」


「へえ、言うようになったじゃん?」




1ヶ月以上、この森山旬という男の前の席で生活して、ひとつ確信したことがある。



こいつは、感じが悪いんじゃなくて、性格が悪い。感じ悪いじゃ済まされないよ、この性格は。




「ほんとごめんね、森山くん。この子、身長は小さいんだけど、声は大きくて…」


「いや、なんで亜里沙が謝ってるの」




問題は、亜里沙が、めろめろだってこと。


こんな近くに敵がいるとは。


初めて見た時も思ったし、しっかり顔を見て再確認したけれど、確かに顔は文句の付けどころがない。

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