君の思惑を教えて

第51話

「え、宿泊学習?」


「うん、宿泊学習」


「そんなのあるの?」


「1年生だけあるみたいよ」




初めての中間テストを、陸に助けられながらなんとかこなし、続々と返ってくるテスト結果に、一喜一憂する日々の中のある昼休み。



天気の神様が、“五月晴れ”と“五月雨”が天秤にかけていて、ゆらゆら、まだ迷っているのか、晴れ間が見えたり、雨が降ったり、そんな天気の5月も半ば。




お母さんが作ってくれたお弁当をダイニングテーブルに置き忘れてきたことを、ベランダから飛び降りたいくらい後悔しつつ、私は購買で買ったパンをかじって、亜里沙の話を聞いていた。




「いついくの?」


「来月だって。海あるらしいよ」


「え!!!いいね!!!」




一昨年の夏は、陸が受験生で。


去年の夏は、私が受験生だった。




夏休みは勝負期間だから、夏っぽいことなんて、ほとんど出来なかったなあ。…あ、お祭りは行ったけど。

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