第49話

私は、陸のユニフォームの肩の部分をつまみながら、陸に言われたとおりに、場所を変えて。




「じゃあ、撮るよ」




いつもと同じ、陸のカメラのシャッター音。



「陸ってさ、写真撮ってどうしてるの」


「は?お前のお母さんにあげてんだけど」


「え、知らなかった」




じろり、睨んでくる陸は、私が持ってるユニフォームをしみじみと見つめる。




「そろそろ、俺らの代になるから、ユニフォーム変わるんだよ。このユニも好きだから、写真に残せてよかった」


「へえ、新しいユニ楽しみだね」


「俺のしみじみとした気持ち返せよ」




帰るか、と陸が傘を広げて、さしてくれる。


いつも、陸の身体はほとんど傘の外に出てて、私は全く濡れてなくて。


それでも、陸はふたりで傘をさすのが好きらしい。




「紗葉って、中学生のころから、サイズ感変わらないよな」


「は~?身長伸びてますけど?」


「1年に3ミリくらい?」


「あとちょっとで151センチになる!」


「何年後の話?」


「来年の予定ですう」

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