第47話

「じゃあ、俺たち帰るけど、宮原も一緒にどう?」


「ううん、私は大丈夫」


「そっか、じゃあ、お疲れ」




ほら、今だって。陸のそばにいたいって言ったくせに、私のために、遠慮してくれて。



邪魔はしないけど、そばにいたいって言ったのに、この人は、私の邪魔をしないことを優先してしまう人なんだ。




私は、きっと、同じことはできない…。好きな人が、陸が、宮原さんと帰るって言ったら、こんな綺麗に笑える自信ないよ。



陸への想いは負けてるなんて思ってない。


でも、イイ女具合では完全に負けてる。



いつか陸も、私の“お兄ちゃん”役に飽きて、紫穂先輩みたいな素敵な女性のところに行っちゃうのかな。




「もうっ、なんで昨日から雨降るって言ってたのに、傘持ってこないかなあ~」




そんなことを思っていても、口から出るのは、“妹らしい”可愛くない言葉で。




私のその言葉に反応して、帰ろうと立ち上がっていた紫穂先輩が不思議そうな顔で、こちらを振り向く。

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