第41話

にっこりと笑っている陸に、私たちに背を向けている宮原さんは、どんな表情をしているんだろう。




さっきの話を聞かなければ、なんとも思わなかったはずなのに、そんな光景を見ただけで、胸に針で小さな穴が開いたような痛みを感じた。




「なーんか、お似合い過ぎて萎えるなあ」




リカちゃんが、ポツリ、雨音に負けそうなくらい小さく呟いた言葉は、何よりも大きく、まるでスピーカーから聞こえるみたいに、私の中で響いた。





「眠くなった?紗葉」



しゃがんで俯いていると、上から大好きだけど、今は聞きたくない声がする。



周りに普通に人がいるのに、私と同じ目線に屈み、優しい印象の二重の瞳で、じっと見つめていて。




「なに」


「お疲れの一言もねーの?」


「…ん、タオル、ちゃんと拭いてね」




持っていたタオルを、ばさっ、陸の頭に雑に被せると、やっぱりこれが狙いだったみたいで、嬉しそうな顔をしている。



そんなにびしゃびしゃになるなら、マネージャーさんにタオル貸さなければよかったのに。もやもやが止まらない。

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