第39話
幼心にも、小さな優越感、っていうか。
陸が私以上に、誰かを優先する日がくるなんて考えたことなくて。
実際にそんなことになったら、私、どうなっちゃうんだろう。
考えてみても、想像もできない未来は、どこまでも醜い感情と、白いもやに隠されてしまっている。
「え…?」
意識の深層に沈められていた私を、元の時間軸に連れ戻してくれたのは、陸のゴールシーンでも無く、それに応じた周りの女の子の、黄色に染まった歓声でもなく、ただ一粒の雨だった。
ぽつり、ぽつり、最初はゆっくりと降っていた雨が、4月には珍しく、いつの間にかバケツをひっくり返したような雨に変わって。
「えっ、これやばくない?」
「ちょっと屋根あるところいこっか!」
みなみちゃんとリカちゃんに引かれて、屋根のある場所に避難すると、雨でずぶ濡れになりながら、サッカーを続ける姿が見えて。
そんな中でも、やっぱり、陸は輝いてる。
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