第36話

素直じゃない私の言葉への返事の代わりに、ふっと微笑むのが無駄に恰好良くて嫌だ。




「友達?」


「うん、クラスメイト」




陸に熱烈な視線を向けているふたりの説明をすると、陸はふたりのほうを向いて。



「こいつ、馬鹿だけど、仲良くしてやってね」


「もちろんです!!あ、試合、頑張ってください!」


「ありがとう」



興奮のせいか何も話さないリカちゃんと、声を上ずらせながら返事をしたみなみちゃん、そのあとに私に笑顔を振りまいて、背を向けてチームメイトのもとに戻っていった。




「紗葉ちゃあん!え、待って、どんな関係!?」




肩関節を外すような勢いでぶるぶると前後に揺さぶられているからか、みなみちゃんの声がどこか遠く聞こえる。




「おさななじみぃいぃぃ」




揺さぶられてるから、語尾にビブラートがかかってるみたいになっちゃうけど、答えに満足したのか、ようやく解放してもらえた。




「幼なじみ!?え、家が近いとか!?」


「うん…、となり」


「となり!?羨ましくて倒れそう」




実際に私と話してるみなみちゃんよりも、リカちゃんのが倒れそうで怖いんだけど…。

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