第34話

「ここ、空いてるよ!」


「ほんと?お邪魔していい?」


「全然いいよ~!」


「じゃあ、お邪魔します」




サッカー部のマネージャー志望で、見学に来たらしいふたりは、ばっちり試合が観ることができる場所をキープしていた。



元々男子校だったここの高校では、基本的に男子向けの部活が多くて。女子にとって、サッカー部のマネージャーは、人気の部活のひとつでもある。



毎年、沢山の志望者がいるために、毎年選考が行われているほどで、顧問や部員の印象に残るために、練習の参加や、試合の見学に来る人も多いらしい。



選考基準は、気が利くかとか、サッカーの知識があるかとか、…顔が可愛いかとか、色々あるって噂。




「紗葉ちゃんも、マネージャー志望なの?」


「ううん、私はただ観に来ただけだよ」


「じゃあ、リカと一緒だね!」




みなみちゃんを挟んで、向こう側に座っているリカちゃんが、目をキラキラと輝かせて私に話しかけてくれる。



リカちゃんは、日焼けをしないように大きなタオルを被って、ばっちりとメイクをして、びっくりするくらい気合が入っている。

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