第23話
ドアの前で、「亜里沙さま、見捨てないでください~~」なんて、亜里沙にだるがられながら絡んでいると。
「邪魔」
温かさの欠片すらも感じない、声の氷柱に後ろから刺されたような感覚がして振り向くと、感じワル男が私を見下ろし立っている。
「す・み・ま・せ・ん」
精一杯嫌味な口調で謝罪すると、私を一瞥して、横を素通りしていく。 その瞬間に、ふっと石鹸の香りが鼻をくすぐって。
こいつ、匂いまでモテるやつだ。
「ねえ、ずーっと気になってたんだけどさ、あんた、うちのクラスのアイドルになにしたのよ」
「うちのクラスのアイドル?感じワル男のこと?」
「なにそのセンスの欠片もないネーミングは…」
亜里沙は恐ろしいものを見るかのように、私を見つめる。
それにしても、アイドルって。キラキラとしたオーラとは正反対の位置にいるような男なんだけど。アイドルて。
「で、なんであんなにアイドルに目つけられてんの?」
「いや、入学式のときに足踏んじゃったの。ちゃんと謝ったんだよ?それなのに、まだネチネチした態度取ってきてさ。ほんっと器が小さい!」
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