第21話

「じゃあ、陸のこと誘っとくね!いってきます」


「気をつけてね~、いってらっしゃい!」




パタパタ、とエプロン姿のお母さんがスリッパで駆けてきて、見送ってくれて、外に出ると、制服姿の陸が待っててくれて。



息を吸い込むと、混じり気のない、朝のどこまでも澄んだ空気で、体中が満たされた気がした。




「おはよう、陸」


「おはよ、今日はちゃんと起きられたんだな」


「たまにはちゃんと自分で起きられます~」




お母さんの趣味であり、自慢のガーデニングには、赤・白・黄色の春のお花が可愛く咲いている。花の名前はわからないけれど。




「ねえ、陸、今週の土曜日暇?陸の家族も誘って、一緒にピクニックしないかってお母さんが」


「あー、ごめん。俺部活だ。多分母さんと父さんは喜んでいくと思うけど」


「わかった、伝えとく」


「1年生勧誘のための部内戦だけど、紗葉も見に来る?」


「えっ!行く」

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