恋敵って、こんな感じ

第20話

「紗葉、ピクニックしたくない?」


「急になに、お母さん。したいけど」


「お父さんが今週の土曜日、行かないかって。りっくんちも誘って」


「ん、わかった。陸誘っとく~」




高校生活にも大体慣れてきて、本格的な授業も始まったし、クラスに新しく友達もできた、そんなある日の朝。



未だにお父さんに恋する乙女であるお母さんは、弾むようなうきうきとした口調で、私に話しかけてきた。



まあ新しく友達ができたと言っても、後ろの席の感じワル男こと、森山旬とは、まっったく親睦を深められてないんですけど。




ただ、見た目は正直、非の打ちどころがなくて。




高い身長に、白い肌。色素が薄いのかと思えば、むしろ青に近いほどに底の深い黒の髪と瞳。


そして、リップでも塗ってるみたいに赤い唇。



違和感でも感じるのかと思えば、それが妙に艶やかで。



感じも悪いし、口も悪い。



それでも、それを、クール!とか男らしい!とかに置き換えてもらえる男で。



【※ただし、イケメンに限る。】という言葉が、これほどまでに当てはまる人、初めて見た気がする。

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