第19話

私のことを無視していたくせに、いきなり変な質問してきて。聞いてきたくせに、どうでもよさそうな反応されて。



ほんっと!感じ悪い!





同じクラスだから、もちろん4階の教室までの道のりも同じで。



足の長さを鑑みて、先に行くことは無理だと早々に諦め、後ろから着いていく。



この人、背高いなあ。


陸も高いけど、その陸よりも高いかも。


…まあ、私から見たら、誰でも高いんだけれど。



変な負けず嫌い精神を発揮して、置いていかれないようにしていた私に気付いた感じワル男。



嫌味な笑みを見せて、スピードを上げてしまった。


おかげで4階に着いた時には、肩で息をする状態になってしまっていて。そんな私を、また鼻で笑って、スタスタと奴は教室に入っていった。




「紗葉?そんなに息を上げてどうしたの?」


「亜里沙!!インフルは大丈夫?」


「あーもう全然大丈夫!入学式行きたかったよおお」




私が息を切らしていると、ちょうど亜里沙が階段を上がってきて。私たちは一緒に教室に入った。




一番窓際の自分の席に向かうと、まあ出席番号順だから、当たり前に感じワル男が後ろの席にいて、正直気分がげっそりした。



『ち・び』



窓際の席で、朝日に照らされるその顔は、思ったよりも数万倍カッコイイのに、綺麗な形の唇から囁かれたのは、私にとって最大限の暴言。



幸せだった陸との時間が、もうずっと昔のことみたい。


こんな奴と席が前後とか、これから私、大丈夫かなあ?

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