第19話
私のことを無視していたくせに、いきなり変な質問してきて。聞いてきたくせに、どうでもよさそうな反応されて。
ほんっと!感じ悪い!
◇
同じクラスだから、もちろん4階の教室までの道のりも同じで。
足の長さを鑑みて、先に行くことは無理だと早々に諦め、後ろから着いていく。
この人、背高いなあ。
陸も高いけど、その陸よりも高いかも。
…まあ、私から見たら、誰でも高いんだけれど。
変な負けず嫌い精神を発揮して、置いていかれないようにしていた私に気付いた感じワル男。
嫌味な笑みを見せて、スピードを上げてしまった。
おかげで4階に着いた時には、肩で息をする状態になってしまっていて。そんな私を、また鼻で笑って、スタスタと奴は教室に入っていった。
「紗葉?そんなに息を上げてどうしたの?」
「亜里沙!!インフルは大丈夫?」
「あーもう全然大丈夫!入学式行きたかったよおお」
私が息を切らしていると、ちょうど亜里沙が階段を上がってきて。私たちは一緒に教室に入った。
一番窓際の自分の席に向かうと、まあ出席番号順だから、当たり前に感じワル男が後ろの席にいて、正直気分がげっそりした。
『ち・び』
窓際の席で、朝日に照らされるその顔は、思ったよりも数万倍カッコイイのに、綺麗な形の唇から囁かれたのは、私にとって最大限の暴言。
幸せだった陸との時間が、もうずっと昔のことみたい。
こんな奴と席が前後とか、これから私、大丈夫かなあ?
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