第18話

高校に着いて、部室に向かう陸と別れ、ひとりで靴箱へと向かう。昨日はまだ出席番号とかもわからなかったから、適当な靴箱に入れられたけれど、今日からはそうもいかない。




「……えー」




自分のクラスの靴箱を見つけて、目で出席番号を辿ると、まさかの一番上段で。と、届くかな…。



「ふんっ」



背伸びして、精一杯腕を伸ばせば届くけど、これ1年間毎日は辛いなあ、って半泣きになっていると。




「早くしてくんない?」




後ろから、不機嫌そうな声が聞こえた。


嫌な予感と共に振り向くと、昨日の感じの悪い男の人で。


私が背伸びしていたせいで、靴をしまえなかったみたい。




「ごめんなさい、あ、昨日もごめんなさい、あ、おはよう?」


「……、」




え、また無視?私の一段下の靴箱を楽々と開けて、スニーカーをしまう彼に対する恨めしさもつのっていく。




「あの…、足大丈夫でしたか…?」


「彼氏?一緒に歩いてたの」


「え」


「違うか」


「幼なじみ、です」


「幼なじみ、…………へえ、そう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る