幸せな朝と、憂鬱な教室

第14話

「…は、さ…、っ」


「んーー」


「さーは! 唸ってないで起きろ」


「!」




意識のそと、遠くのほうから誰かの声がして、はっと目を開けると、ぼやけた視界の中であきれたような表情の陸がいる。



ふわふわの布団に、春のほどよい気温、そして好きなひと。




「なんて最高の睡眠環境でしょう…、」




春眠暁を覚えずとは、昔の人はよく言ったものですね。そして私は、もういちど目を閉じ…、




「いたっ!?ちょ、信じらんない」


「昨日入学式やったこと忘れたのか。もう長い春休みは終わってんだけど? 」




陸におでこをぱちん、と叩かれて、ふたたびまどろみの世界に飛んでゆくことは叶わなかった。痛い、信じられない、けれど、




「え!時間やばい!?」


「ほら制服」


「うわあああありがとう!でもここにいないで!私着替える!」


「紗葉の生着替え見てもなんも思わねえよ」


「そういうやりとりしてる時間すらない!」




とりあえず、陸を部屋から追い出して、まだまだ新品のにおいがする制服を着た。髪を整えて、歯磨きをして。

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