第13話

――――…もう、やっぱり、この人がすき。



高い身長と、恰好良い容姿だけじゃない。



歩くときに歩調を合わせてくれるとか、サッカーで誰よりもたくさん走ってるところとか、勉強を教えてくれる横顔だけでもない。



私を誰よりも理解してくれてて、私を誰よりも気にかけてくれて、誰よりもそばにいてくれて、優しくて、まるで家族みたいで。




私がもう少し早く生まれてたら、陸がもう少し遅く生まれてたらって、何度思っただろう。



1日どころか数時間しか誕生日は変わらないのに、陸は何でも1年早く経験しちゃって、私はいつも好きな人の背中を追いかけている。




はやく大人になりたい。


年の差なんて関係なくなったら、子ども扱いもされなくなるし、私もきっと素直になれるはずだから。




好きなのに、大好きなのに、そばにいるのに、どうして。


どうして毎日こんなに不安なんだろう。





「はい、ふたりとも笑って~」




ぱしゃり、春風と桜吹雪とともに、また一枚、陸との思い出が増えた音がした。また、追いつけなかったことを、思い知らされた。

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