第12話

たしか陸が中学生になったくらいのときは、顔がまだなんとか隣にあったはずなのに、今は見上げないといけない。



ちらり、下に視線を落とすと、私より1年早く着始めて、陸にぴったりになった制服が見える。



同じ制服を着ているのに、写真を見ると、全く違う。



そんな現実が永遠に残ってしまうから、写真を見返すのも嫌いで憂鬱だ。誕生日の、次、くらいに。




「紗葉、何じろじろ見てんだよ」


「べっつに~」


「俺の制服姿に見とれた?」


「見慣れてるわ!」


「紗葉は童顔過ぎて、高校の制服着てもまだまだ中学生でいけるな」


「も~うるっさい!高校で急成長してみせるし!お母さん!はやく撮って!!」




ふて腐れた私を見て、陸がくすっと笑う。



「本当にお前は、ふて腐れるとすぐ分かるな」


「うるさーい」



陸は、今度は周りの目を気にせず、さらり、私の頭を撫でた。


ご機嫌取りって分かってるけど、やっぱり嬉しい。




「ほんと、単純だなあ、悪い奴に騙されそうで怖い」


「だいじょーぶ!」


「気をつけろよ」


「誕生日1日しか違わないのに、大人ぶらないでください~」


「むしろ誕生日1日しか違わないのに、そこまで子供っぽくなれるほうがすごいわ」

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