第12話
たしか陸が中学生になったくらいのときは、顔がまだなんとか隣にあったはずなのに、今は見上げないといけない。
ちらり、下に視線を落とすと、私より1年早く着始めて、陸にぴったりになった制服が見える。
同じ制服を着ているのに、写真を見ると、全く違う。
そんな現実が永遠に残ってしまうから、写真を見返すのも嫌いで憂鬱だ。誕生日の、次、くらいに。
「紗葉、何じろじろ見てんだよ」
「べっつに~」
「俺の制服姿に見とれた?」
「見慣れてるわ!」
「紗葉は童顔過ぎて、高校の制服着てもまだまだ中学生でいけるな」
「も~うるっさい!高校で急成長してみせるし!お母さん!はやく撮って!!」
ふて腐れた私を見て、陸がくすっと笑う。
「本当にお前は、ふて腐れるとすぐ分かるな」
「うるさーい」
陸は、今度は周りの目を気にせず、さらり、私の頭を撫でた。
ご機嫌取りって分かってるけど、やっぱり嬉しい。
「ほんと、単純だなあ、悪い奴に騙されそうで怖い」
「だいじょーぶ!」
「気をつけろよ」
「誕生日1日しか違わないのに、大人ぶらないでください~」
「むしろ誕生日1日しか違わないのに、そこまで子供っぽくなれるほうがすごいわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます