第9話
絶対に赤く染まっている私の頬。
ずんずんと前に進む陸は、どんな顔してくれているんだろう。
知りたいのに、勇気がでなくて。
知る勇気があったら、きっと何かが変わってたんだろうな。
◇
緊張の色に染められた静寂の中、粛々と進められていく入学式。そわそわとした空気の中で、クラス・出席番号順に次々と名前が呼ばれていく。
「…、村岡 紗葉」
私の左隣の人が起立して、そしてついに私の名前が呼ばれて。
「はい…!」
これからの高校生活に胸躍らせ、気合いを入れて、思いっきり立ち上がると。
「いってぇ!」
「え!?え、ごごごめんなさい」
右隣の男の人の足を、ううん、足の〈小指〉を、思いっきり踏んでしまった、気が、する。
「モリヤマ シュン、――モリヤマくん?いらっしゃいませんか?」
彼が痛みで悶絶している間も、もちろん点呼は続いているわけで。
いないかと聞かれたモリヤマくんは、私を睨んで、ゆっくりと返事し、立ち上がった。
「ごめんなさい」
「……」
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