第8話
陸をからかうのが生き甲斐だという園田先輩は(ちょっと性格悪いよね)、よく陸の面白い反応を見るために、私を利用していて。
「紗葉、お前なんか可愛くなったな?」
「うわあ、本当ですか~!」
いつものノリで、思ってもいない褒め言葉を口にする園田先輩と、いつものノリで返事をする私。
「ソノ、お世辞なんていうと紗葉が余計可哀想になる」
「はっ、お世辞じゃねーし。な、紗葉?制服も似合ってるぞ?」
「聞いてくださいよ、陸なんて、制服も褒めてくれないんですよ!」
「酷い男だな?可哀想に」
陸がノってきたのが嬉しかったのか、調子に乗って、慰めるように、ふわり、私の髪を撫でようとするそぶりを見せた園田先輩の思惑にいつも引っかかるのは陸で。
「入学式、始まる」
ぐいっと、園田先輩から引き離すように、陸のほうに引き寄せられた。陸の反応に満足したらしく、ニヤニヤとした笑みを浮かべた園田先輩を置いて、そのままぐいぐいと引っ張られる。
「ちょ、どこいくの?」
「似合ってる」
「え?」
「制服、似合ってるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます