第8話

陸をからかうのが生き甲斐だという園田先輩は(ちょっと性格悪いよね)、よく陸の面白い反応を見るために、私を利用していて。




「紗葉、お前なんか可愛くなったな?」


「うわあ、本当ですか~!」




いつものノリで、思ってもいない褒め言葉を口にする園田先輩と、いつものノリで返事をする私。




「ソノ、お世辞なんていうと紗葉が余計可哀想になる」


「はっ、お世辞じゃねーし。な、紗葉?制服も似合ってるぞ?」


「聞いてくださいよ、陸なんて、制服も褒めてくれないんですよ!」


「酷い男だな?可哀想に」




陸がノってきたのが嬉しかったのか、調子に乗って、慰めるように、ふわり、私の髪を撫でようとするそぶりを見せた園田先輩の思惑にいつも引っかかるのは陸で。




「入学式、始まる」




ぐいっと、園田先輩から引き離すように、陸のほうに引き寄せられた。陸の反応に満足したらしく、ニヤニヤとした笑みを浮かべた園田先輩を置いて、そのままぐいぐいと引っ張られる。




「ちょ、どこいくの?」


「似合ってる」


「え?」


「制服、似合ってるよ」

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