第7話
「ありがと」
「紗葉には俺がつけたかったんだ。俺が合格させてやったようなもんだからな」
「実力だから!頑張ったもん!」
「ん、頑張ったのは知ってるから。おめでとう」
そう言って、いつもの癖なのか頭を撫でそうになって、陸ははっと気づいた様子で、私の頬をつねった。
「これでまた、紗葉は俺の後輩だな?」
にこり、悪意のない爽やかな笑顔で、陸は私の心にまた小さな傷をつける。
陸を追いかけてこの高校に来た。陸の高校の後輩になりたくて、あんなに勉強を頑張った。
そう思えば、きっとこの言葉は何よりも嬉しいものなんだろう。
でも私には――。
「おい、ふたりきりの世界に入んなよ」
「え、園田先輩!お久しぶりです!」
背の高い陸の後ろからひょっこりと現れたのは、がっしりとした見覚えのある男性。
一瞬沈んだ心を見透かされないように慌てて笑顔を浮かべれば、相変わらず屈託のない笑顔を返してくれる。
園田先輩は陸と同じサッカー部で、陸の親友。中学の委員会で一緒だった私とも仲良くしてくれていた。
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