第6話
華やかなアーチの前に立って、それ越しにずっと憧れていた校舎を見つめると、受験を乗り越えられた嬉しさで泣きそうになってしまう。
息を吸って、そして吐いて。そっと一歩を踏み出すと、新しい世界へと足を踏み入れた感覚がして、やっぱり不安になるけれど。
そんなわたしをそっと横で温かく見守ってくれていたのは、ずっと昔、きっと生まれたときから、今も隣で微笑んでくれているこの人だ。
「ちょっと待ってて」
そう言って、陸はひとりで昇降口のほうへ向かって行ってしまった。
少し心細かったけれど、家から近いこの高校は、同級生に限らずやっぱり知り合いは多い。
中学のバスケ部の先輩やら何やらに話しかけられて陸が帰ってくるまで退屈しなかった。
戻ってきた陸は、造花がついている、【入学おめでとうございます】と書かれた、安全ピンがついた飾りを持ってきて、それをゆっくりと私のブレザーにつけてくれる。
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