第5話
結果的に私は、ずっと目標にしていた中学の最後の大会に出場することは叶わなかった。
いまもときどき、痛むときがある。膝も、心も。いつか膝の痛みが消えても、この心の傷が消えることは無いだろう。
それを陸は気にしていて、いつもさりげなく気遣ってくれる。
少しだけ前を歩く陸は、私と同じ高校の制服がとてつもなく似合っていて。
なんて言うんだろう、着こなしているというよりも、この制服を着慣れている感じが格好いい。
私のパリパリの制服とは全く違うその様子に、また1年の大きな差を感じて、少しだけ、喜びで溢れていた胸に影が差した。
「紗葉はバスケ部入んの?」
「ん~迷い中。プレーヤーとして出られないからなあ」
「マネージャーでいいじゃん」
「プレー観てたらやりたくなるでしょ!」
「頼むから、体育くらいで我慢しろよ。今度は右足手術とかなったら嫌だろ?」
「わかってる~」
私のペースに合わせて歩いてくれる陸とゆっくりと歩いて行くと、カラフルなお花紙で象られたアーチと、真っ白な大きな校舎が目につく。
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