第185話

はあ、と懐かしむような熱い吐息が首にかかって、全身に鳥肌が立った。


声を出さなかった自分を褒めてあげたいくらいに。




「あれ紫花~?」




どんどん近づくクラスメイトたちの足音。


取り敢えずコウくんから離れようと、焦りつつ身体を捩じるけれど、私を抱きしめる力が強まるだけ。




「ねえコウくん~…!」




そして、私とコウくんが抱きしめ合う教室の前までとうとう足音がやってきて。



焦るように振り返った私を見て面白そうにニヤリと笑ったコウくんは、色気しか感じない瞳を私に向ける。



今度ばかりは、暗さになれてしまった自分の目を恨んだ。だって、どうしようもなく引き込まれる。



スローモーションみたいにコウくんの長い睫毛が伏せられるのを見ていた。




「んっ」




悪戯っ子のような笑顔を見せた後、私の首筋に真っ赤なそれを口付けたコウくん。



律に手首に唇を落とされた時とは全く異なる一閃が身体に走って、抑えきれなかった声が漏れた。




「今なんか声聞こえなかった?」


「この教室かな?」




そんな会話が聞こえるのに、何故かコウくんは本当に私を離そうとはしない。

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