第91話
気取った英国紳士のように笑みを浮かべ敬礼をした将司くんに、麻耶がほんの少し頬を染めた。親友の嗜好に甚だ疑問を感じる。
「放課後に荷物は持って行ってあげるわよ。軟禁頑張って」
と、優しさなのか照れ隠しなのか理解不能の応援をしてくれる麻耶と、隣のベッドでうつ伏せに横になったままの律にお礼を言って。
俺2限目授業あるから急いで!と将司くんが私を急かした。
「大丈夫?」
「ありがとう」
少しだけぼんやりとした視界に付き纏われながら、将司くんに支えられて歩く。
さっき電話をかけるために医務室を抜けたときに車を用意したらしく、昇降口の外には既にタクシーが止まっていた。
「ほら、俺って仕事出来ちゃう系のオトコだからさ」
ふん、と鼻で笑ってやると、隣に座った中等部の大人気教師は暴力的な手段に出る。
「暴力反対!」
「紫花ちゃん、光綺と比べないでよ?世間一般的に俺ってイイ男だよね?ね、」
「あー、そうですねー」
殴られた頭を押さえながら適当に返事をする。
こんな適当な答えでも満足したらしい彼は、ご機嫌そうに座席に深く座り窓の外に意識を向けていて。
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