王子様は心配性で甘やかし
第79話
ふわり、身体が浮いた感覚。
温かい体温に、大好きな香り。
「こーくん」
「ん?起きた?」
「帰ってたの?」
「いまな」
「おかえりなさい…」
瞳に飛び込んできた光に未だ慣れずに、チカチカとライトが点灯する視界。見慣れたリビング。
ようやく微笑んだコウくんの笑顔を脳が認識した瞬間に、安心感がぶわっと込み上げた。
思わず私を抱き上げているコウくんの胸に頬を擦りよせると、近くで女の人の笑った声がする。
「本当に紫花さんは光綺さんのことが大好きなんですね」
クスクス、と笑みを零すのは樹理ちゃん。思わずコウくんに甘えてしまった場面を見られたことに頬が染まる。
「意外と甘えたがりなんだよ、コイツ。ちょっと甘やかして育てすぎたかな」
「光綺さんにだけです」
「ちょっと樹理ちゃん!そんなことないでしょ!コウくんも!はーなーしーてー!」
うふふ、と微笑ましく思っているような笑顔を向けられると胸がとてつもなく羞恥で痛い。これが所謂、"イタい"っていう状態なんだろう。
コウくんの腕の中で暴れると、余計にコウくんの腕に力が入って。羞恥のループに迷い込んでしまったかのよう。
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