第77話
「紫花いるんだから吸うな、って言われてさー。俺紫花ちゃんが小学生って知らなかったから、妊娠でもしてんのかと思ったよ」
「に、妊娠って…」
「まあそんぐらい光綺は紫花ちゃんのこと大切にしてるってこと」
「大切、にはしてもらってます。とっても」
将司くんの言葉に少し照れたけど、でもしっかりと答えることが出来た。
すると将司くんはやっぱり優しく安心したように笑う。それは私だけではなくコウくんのことも考えたような包み込むような笑顔。
「光綺は紫花ちゃんに出会ってやっと人間らしくなったよ。本当にありがとう」
これはきっと、コウくんの幼なじみとしての将司くんの言葉。
「人間らしく…?」
「あいつ本当酷かったから。人間としてあり得ないことも、かなりえげつないこともしてた。」
どんなことをしていたのか想像もつかない。だってコウくんは、王子様で大人で優しくて意地悪で、ほんの少し過保護で。
「紫花ちゃんと出会わなかったら最低な人間のままだったよ、きっと。あ、これ俺から聞いたって言わないでね」
「はい」
「紫花ちゃんだけは、いまの光綺を見てあげて。アイツ男から見ても恰好良くなったよ。顔は昔から人間離れして綺麗だったけど、内面的な意味で」
本当に嬉しそうに言う将司くん。
昔コウくんがどんなことをしていたかなんて興味ない、ってこの時は思ってた。今のコウくんが大好きだから。
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