第72話
「絨毯どうする?毛長めのにする?」
「カフェっていってもソファーにするの?」
「カーテンはどうせ引かないし柄が目立てばいいよね」
有名大の附属で内部進学の人が多い上に余るほどの指定校推薦をもつ附属高校生なだけあって、皆勉強よりもこちらに力を入れている。
私はというと、数人の友人と一緒にコスプレカタログをぱらぱらとページをめくりつつ見ていた。
「紫花ちゃんはどんなの着たいのー?」
「え、私?んー、地味なやつかなあ」
「勿体無いー!これとか似合うと思うけどなー」
「いやいやいや無理!」
セクシーすぎるその衣装に、目玉が出そうなほどに驚いてしまった。こんなのを着るくらいなら、瑛茗祭なんて出なくてもいい。
「いやー俺は永藤にそれ着てほしいけどな。記念撮影とかお願いしたい」
「ま、っ、致路(ちじ)先生!」
後ろからカタログを覗き込んできたのは、よく聞き覚えのある、耳馴染みの良い声だった。
確かもうすぐ30歳。女子高生が弱い大人の魅力がびゅんびゅん伝わる男性年齢。しかも顔が良い。
「きゃー!致路先生なんで高等部にいるんですか!?」
「少し用事があってね。瑛茗祭の準備始まってるって聞いたから色んなクラス回ってんの」
高いコミニュケーション能力も手伝って、まあ、当たり前のように学生人気が高い。
「あ、永藤さん、三豆先生が呼んでたよ」
「はい。職員室でいいんですか?」
「多分ね。行こう」
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