第69話

「ったく、朝から盛ってんじゃないわよ。天下の植盛なら性欲なんて感じた途端に女の子捕まえて放出でしょ?キャッチアンドリリースでしょ?」


「麻耶!」


「ほら紫花こっち来な」




サブバッグで律の頭を思い切り叩いてくれたらしい。まだ律は悶絶している。




「ま、こんな記事載ってたら皆イチャついてると思って止めないわよね」


「あ、これ今日だったんだ」




ばさり、机の上に置かれたのは重量感のある新聞。




【瑛茗新聞高等部 花姫特集特大号!!】




そう銘打たれた校内新聞の1面には、この前新聞部に教室に押しかけられたときに律が悪ノリして撮らせた写真が使われていた。




咄嗟に目を瞑る私の額に、優しく律が唇を落とす写真。



ご丁寧にもしっかりと私たちの顔が分かるようになっている。




《誓いのキス! 王子様から求婚されたリアルシンデレラ!》




「シンデレラって…」




そんなキャラじゃないんだけど。



その他にも私と律が並んでいる写真などが掲載されていて、明らかに新聞部は律を利用してる。




一通り写真を見た私はまだうずくまっている律を横目で見つつ、記事を読み始めた。

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