第64話
ホテルのロビーで、ジャンルは違えど最高の容姿を持つふたりの間にいる私。
どれだけちんちくりんに見えてしまっているのか、考えるだけで恐ろしい。
きちんとメイクをして、ヒールで身長を高く見せていて良かった…、とひとりで安堵していると、居心地の悪い沈黙が走った。
「………?」
視線を上げると、ふたりの視線が高いところで不穏にぶつかりあっている。
「言いたいことがあるなら、どうぞ?」
「え、どうしてそんなに喧嘩腰なの?」
その不安定で微妙な空気を切り裂いたのはコウくん。
ただ、先程までの余所行きの笑みと丁寧な口調は崩れている。
「じゃあ遠慮なく。……アンタと紫花の関係は?」
「さあ?言いたいことあるなら聞くけど答えるとは言ってない」
「取り敢えず紫花のこと離して。見てて苛つくんだよね」
「それって宣戦布告?」
「もちろん」
「粋がってんな、ガキ」
優雅な時が流れるハイレベルなホテルの豪華なロビーに相応しくないピリピリとした雰囲気。やっぱりコウくんは私を離してくれない。
「よし紫花帰るぞ」
ふたりだけの世界を勝手に終わらせたらしいコウくんは、あっけらかんと私に告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます