第52話

白いブラウスに、ブルーのハイウエストスカート、日焼け対策のサマーカーディガンを羽織って。



歩きやすいようにローヒールのサンダルに履き替えて外に出ると、広大な庭で走り回って遊んでいたらしいシェリが飛びついてくる。




「シェリ、一緒にお散歩行く?」




問い掛けると、ハッハッと嬉しそうに尻尾を振るシェリに癒されて。リードを取りに一旦玄関に戻ると、そこで樹理ちゃんに会った。




「どうしたの?」




私が嫌だと言ったから、樹理ちゃんはコウくんが居ないときには私に敬語を外して話しかけてくれる。




「シェリとお散歩に行こうと思って」


「あー、駄目よ。さっき私が連れて行ったから。いつになったら私に懐いてくれるのかな」




はあ、と溜息を吐く樹理ちゃん。相当引っ張られたのだろう、その光景は容易に想像がつく。




シェリは基本、私とコウくんにしか懐いていなくて。



樹理ちゃんや朝子さんたちには吠えたりはしないけれど、甘えたりもしていない。




「何回も連れて行って貰えるって思われたら私の体力が保たないわよ」


「あ、そっか」




室内トイレもあり、第二邸のかなり広大な庭を我が物顔で好きなだけ走り回ることの出来るシェリはあまり外への散歩を必要としない。




ただシェリ自身は外へのお散歩も大好きで、いつもおねだりしているのだ。

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