第44話



「それでは、宜しくお願い致します」


「こちらこそ宜しくお願いします」




あまり気分は乗らないけれど、教室に押しかけられその流れのままにインタビューを受ける。




インタビュー場所はカフェテリアで、テーブルの上には私の大好きなカフェモカが用意してあって。




「永藤さんはカフェモカが好きだと伺っていましたので。インタビュアーを務めさせて頂く地居と申します」




大好きなカフェモカもあるし、インタビュアーの口調は何処までも堅いけれど、そんなのは気にならない。でも唯一納得できないのは。




「…、なんで律もいるの?」


「この前言っただろ。俺もインタビュー立ち会うって」


「意味がわからない」




そう、当たり前のように私の横に腰掛ける律。優雅にアイスコーヒーを飲みつつ、ストローを咥え込む赤い唇やら何やらと振りまく色気がうざったい。




「俺も新聞乗るんだからいいだろ?」




自分がここにいる理由を正当化しようと、律が言い訳をする。いちいち覗き込んでくる綺麗な顔から目を背けると、「意識してる?」と律は嬉しそうに笑って私の頭を撫ぜた。




パシャリ、やっぱりタイミングを逃さないらしいカメラマンの男子学生も嬉しそうに声を上げる。




「律、本当に私怒るよ。ベタベタされるの嫌いって何度言えば分かるの?」


「俺が好きなんだからいいだろ」


「私は"あっち側"だから、"こっち側"の常識は通じない。律の我が儘を聞いてあげられるほど心は広くないの」

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