王子様は誰にとっても王子様

第40話



「疲れたー…」


「お疲れ様」




お昼休み。私は麻耶と敷地内のカフェテリアに来ていた。


本物のカフェテリアみたいに自分で食べたいものを取っていく形式ではないし、言ってしまえばただの学食なのに、カフェテリアなんて呼ばれているのはイマイチ理解出来ない。




たまたま空いていたテラスに座り、ふたり向かい合って、パスタを食べる。



フォークでくるくると和風きのこパスタを巻いていると、ふいに愚痴が零れてしまった。




「なんかもう朝から疲労感が酷いんだけど」


「新聞部も植盛も凄かったもんね」




思い出しただけで、胃が重くなる。新聞部よりも、律の言動が。



ちらちらと視線がこちらに送られて、思ったよりも噂が広まっていることを思い知った。




「律のファン怖いな」


「それは大丈夫よ」




きっぱりとした親友の口調に一瞬安心させられたけれど、疑問も湧き上がってくる。




「なんで言い切れるの?」


「なんとなく。ねえ、植盛とどうなの?付き合うの?」




ずっと一緒にいたから分かるけれど、彼女のなんとなく、は何故か絶対にその通りになる。



楽しそうな声色で落とされた爆弾に、直ぐに反応したのは私で。




「馬鹿なこと言わないでよ」


「どうして?植盛よ?紫花に釣り合うのってこの学校じゃあいつくらいだし。最高の容姿と家柄、何も文句ないじゃない」

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