第34話

「新聞部だよ、あのしっっっつこいと有名なあのしつこい新聞部。」




親友が強調するだけあって、この新聞部は悪名高い。

かなりしつこい取材と写真撮影という点において。




「心外ですね、小此木(おこのぎ) 麻耶さん。我が新聞部は、広い広い瑛茗附属の生徒が情報不足に困らないようにと、初等部から構成されているのですよ」


「説明もしつこい」




新聞部は生徒会の写真係という立場まで利用して、好き勝手に活動している。芸能界のパパラッチのようなしつこさ。




何処までもカメラを持って、追いかけてくるらしい。

証拠を掴むまで諦めないその精神力は素晴らしいけれど、追いかけられるほうは本当に迷惑だと思う。




ただそういうことを学生たちは知っているから、その新聞は高い信憑性を持っていて話題性は抜群。




新聞部を支持する人たちもいて、だからこそ新聞部はこの性格のまま生き残っているのだろう。




「いいですねぇーー、このツーショット!学園でいちばん美しいと評判の永藤 紫花さんと、素晴らしい容姿と家柄をもつ植盛 律くん。新聞が飛ぶように売れますよ!」




促すように私の背中に腕を添え微笑む律と、寄り添う私。喜んだ新聞部に見せられた写真の私たちはまるで付き合っているようで。




「やめろ」




いつも軽い律の声が低く駆ける。教室の学生たちの視線だけでなく、騒ぎを聞きつけた他の教室の学生たちも集まり、とても視線が痛い。

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