第12話
「う、わあ」
ご飯を食べた後らしく、真っ白でわたあめのような子犬たちはとても大きなお母さん犬のそばでごろん、と寝転がりじゃれたり眠ったりしている。
私はというと、こんなに沢山の子犬をいちどに見ることがなかったので、猛烈に興奮していた。
「う、わあ、可愛い…」
うわあ、と可愛い、を延々と繰り返す私をもう待てなくなったのか、コウくんは子犬の近くに私を促す。みんな本当に可愛らしくて、この中から選ぶなんて無理!と思ったけれど。
ーーーーーあの子、
クッションに埋れた、他の子犬を助けてあげるように、クッションを咥え上げている子犬。
触ると柔らかそうな、もふもふとした真っ白な毛と、それとは対照的に真っ黒な潤んだ瞳と、鼻。ふるふる、と一生懸命に振られている身体に対して短めの尻尾。
色白で、どこまでも艶やかな真っ黒の瞳。そして、優しさ。
――――…何だか、光綺さんみたいだ。
「あの、」
「ん?決まった?」
光綺さんとブリーダーさんは、私の視線の先を辿る。
「ホワイト・スイス・シェパードですね。温厚ですが、とても忠誠心がありますよ」
私の視線の先にいた犬種について、ブリーダーさんが説明をしてくれる。コウくんもその子を見て気に入ったようで、その子に決めたみたいだった。
抱いてみますか?と提案され、その子を抱っこしてみる。もふもふとした毛は想像通りの柔らかさで、鼻の上を撫でると嬉しそうに私の手を舐めて。
お母さん犬と比べると、とても小さい。それでも足は太く、肉球は大きくて、将来的にはきっとこの位に大きくなるんだろうな、と思わされた。
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