第87話

* *




「千織ー、やっぱりズミさんより森田さんのが凄いって言ってたよ。」



「え、誰が?」




呉月くんに、森田さんとズミさんどちらがいいか無理矢理吐かせた翌日。



私は自慢気に千織に話し始めていた。




「呉月くん!」



「え?小町、エースと接点あったっけ?」



「………あ、っと。」




そうだった。



放課後会ってるってこと、私はまだ千織に言えてなかった。




だって、それを言うってことは、呉月くんの辛い経験を話さなければいけない訳で。



それが広まることを、絶対に呉月くんは望んでないから。




「ん、とね…。」



「言いづらい?」

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