第73話

本当に来てくれるのかな、とか。




そんなことを思いながら、窓の外を見ると、今日も来ている大学生。



呉月くんの元カノの今カレ。仲良さそうな2人。





―――もう、来てくれなくてもいいから、呉月くんがあの2人を見ることがありませんように。



気持ちを表すことが苦手な彼が、ひとりで苦しむことがありませんように。






願った瞬間、聞こえてきた足音。



それは、階段を降りている音。急いでいるようで。かつんかつんと。




階段を降り終わって、少し小走りになっていた足音が、この教室に近づいてきて、止まる。




そして様子を窺うようにそろーっとドアが開いていった。

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