第72話

呉月くんは、確か被服室掃除だったから、教室にはいない。




「あれー?小町今日残るの?」



「あ、うん。ちょっとね。」



「そっか。んじゃ部活行ってきまーす。」



「お、行ってらっしゃい!頑張ってねー。」




同じ掃除グループの友達が、続々と帰っていく。



そのうち誰ももいなくなって、教室にいる最後のひとりとなってしまった。



さっきから寄りかかっていた壁から身体を放して、私しかいない教室に、カツカツ、音を響かせながら窓に近付く。




掃除をしたから、カーテンは全開になっていて、西日が教室に入り込んできている。



日が差し込む日影と、差し込まない日陰。教室が明と暗に別れていて、それを見て少し感傷的になった。

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