第63話

想いの大きさが。


空気の重みとなって、ずしりずしりとのし掛かる。




「でも俺じゃ支えきれなかった…っ。」



「え…?」



「大学受験で不安定なあいつのことを。…やっぱり、高校受験と大学受験は違う。で、使えない俺の代わりにいろいろ相談してたのが、あの男の人らしい。」



「…………。」



「そりゃ、相談に乗ってくれる男と、頑張れしか言えない使えない男じゃ、頼れるほう選ぶよな。」




使えない、って。


自分のことそんな風に評価して。


ひとりで、苦しんで。




「羨ましいよな、本当。経験とか勝てる訳ないじゃん。」




呉月くんは、エースで偏差値モンスターで、何でも出来る完璧ボーイで、いつも余裕そうに微笑んでいるのに。



いまは、苦しそうに微笑むから。

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