第62話

きっと顔、見られたくないよね。私も目、きっと真っ赤だから、見られたくないし。



だから、隣合った机に、座った。



でも身体を向かいあわせる訳でもなく。



2人、机に視線を落としながら、暫しの沈黙。




「………俺、本気であの人のこと好きだったんだ。」




ぽつり、と話し始めた呉月くん。ぽつり、ぽつりと。




「あの人、本当は千里くんのこと好きだったんだ。でも、知ってると思うけど、千里くんは姉貴ばっかりで。それで諦めたらしい」



「うん。」



「俺は、図書室で仲良くなって。姉貴と千里くんの思い出の場所が図書室って知ってたから、あ、もしかして、この人が俺の大切な人になるのかなって。」

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