第61話
その間に私は呉月くんに背を向けて、すう、深呼吸をする。
カーテンのお陰で、外の空間とは遮断されている。
彼らはいまもいるのか、いないのか。
分からないけれど。
大分落ち着いたところで、振り返ると、私の視線が、呉月くんの心配気な視線と交差する。
「ごめんね、急に取り乱して。」
「…謝らないで。俺のために泣いてくれて、ありがと。……話、聞いてくれる?」
恐る恐る、という感じのエースに、もちろん、という意味も込めて、大きく頷いた。
* *
「とりあえず、座ろっか。」
「うん。」
話すなら、向かいあわせがいいんだろうけど。
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