第58話

「大丈夫なんて言わないでよ…。」




そんな傷付いた顔をして。


呉月くんが、凄く彼女を大切にしていたことを知ってるから。


簡単に、大丈夫なんて言わないで欲しい。



机、数個分離れた距離からでも分かる。




――呉月くん、泣きそう。



私は振り向き、カーテンを閉めた。



オレンジが遮断されて、薄暗くなる教室。



オレンジだけではなくて、あの風景に向けられていた、呉月くんの視線も遮断する。





「外、見ないで。私のこと、見てよ。」



「………え?」



「…………!」





また、やらかしたよね。


いつもの焦ると変なこと口走る癖出ちゃったよね。

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