第21話

よし。オッケーかな?



自分も帰るために、リュックを背負って気付いた。




窓の鍵、閉めなきゃ。



そう気づいて、窓に近づいた瞬間。さっき、私を残して去っていった背中が見えた。




…隣には、女の子がいる。手を、繋いでる。




そうだったんだ。呉月くんは多分毎日あの彼女と帰っているんだ。



部活ない日も、どうにかして時間を潰してて。今日は多分その時間潰しが、私のお手伝いで。




私のお手伝いでわざわざ残ってくれてたんじゃなくて。私がついでだったんだ。




浮かれていた私が、なんかもう惨めで。



急いで窓を離れた。そして電気を消す。




楽しかった放課後が、一瞬で真っ暗に、なった。



夢の終わり、みたいに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る