宇宙十分の一
星が減り始めていると分かった時には
九割の星は消滅していた
光がここに来るまでの間に
終焉してしまった仲間たち
銀河を巡った船たちが見つけたのは
様々な痕跡ばかりだった
誰もがどこかに逃げて
誰でもなくなってしまったのか
必ず訪れる老いと死は
星にも宇宙にも存在する
未来に投げ捨ててきた無責任に
ついに追いついてしまったのだ
私たちは看取れるだろうか
青くはなくなっていくとしても
たった十分の一の寿命でも
何億年もあるというのに
過ぎてしまった十分の九が
まばゆさを増していく
そんなことは知らなくても
九割のものは殺してきたのに
残念なのは宇宙を弔う存在が無いこと
ささやかな生前葬を執り行おう
産んでくれてありがとうございました
育ててくれてありがとうございました
輝いてくれて そして深い闇をくれて
永遠を思わせてくれて 有限を知らせてくれて
全てにありがとうございました
星が一つ消えても気づかない
そんなことが毎日続いて
無になってしまうのだろう
この星が消えてしまっても
光は旅を続けていく
どこかの銀河の誰かにも
ありがとうを伝えておこう
ありがとうございました
ありがとうございました
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