呼び声捏造
あの日以来呼び声がする
この通りを歩いてすぐのところで
君は魂を溶かした
人々の記憶に傷を残して
思いを達成してしまった
こちらへ
あなたもこちらへ
呼び声は繰り返す
抗いは糧になり
声を増幅させる
あなたが得られるものと同じ理由で
私はこちらへ来たのだから
こちらへ
あなたもこちらへ
その声はたくましく
そして柔らかい
体から魂が引き抜かれ
あちらへ誘われてしまいそうになる
けれども私はこちら側にいたい
心と体をぴったりとくっつけて
喜んで悲しんで落ち込んでいたい
その声を捏造する
呼んでいない誘っていない
君の物語に私はいない
許されるように捏造する
優しく厳しく
初めて会った私に
うわべだけの素敵な言葉を投げる
私は適当な相槌を打って微笑む
生きるために仕方ないのだと
毎日捏造した声で上書きする
そちらへは行かない
私は呼ばれていない
生きていく居場所を抱擁し続ける
君の本当の声が手を伸ばして
私の足に届きそうになっても
捏造した声で打ち消す
そちらは素晴らしい
こちらへ
あなたもこちらへ
そちらで生き抜いて
こちらへ
あなたもこちらへ
おかしくなる
私は耳をふさいでくるくると回る
本当の声と捏造の声をすり抜けて
あちらとそちらの間のこちらで
君を裏切り続けて
何とか生き延びていく
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