カルデラリンク
カルデラの失われた側に住んでいる
豊かなものは全て奪われて
ただ歴史だけが堆積していく
誰からも見えない名誉
誰からも望まれない神秘
そんなものだけを啄んで生きる
カルデラの残された側で夢が溢れて
人々は溶岩に絶望を投げ込んでいる
抱え続けていれば
いつか輝くときもあるのに
希望にばかり投資されていき
思いは渦となる
カルデラは時折裏返る
私は山肌を転がって
世界のにおいを覚え込む
草木も岩も牛の糞尿も
私の世界では失われたものだ
心を穢していく甘さ
捕われそうになる前に歪曲は閉じる
においを繰り返し思い出し
表の歴史に糸をつなぐ
時折訪れる残酷も
乗り越えた後の素晴らしい歓喜も
こちら側には全くない
ただにおいを覚えておくしかない
カルデラの失われた側に住み
いつまでも生き続けたいと思っている
私は焦がれ続けるのだ
残された側の複雑さに
その中にある曖昧さに
その果てにある戸惑いに
終焉が生み出す新しさに
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