第13話:恵理奈さんの真実。
晋平の過去を知ってしっまったリンデル。
晋平に対する行為「恋」も手伝って、彼を更生させるって使命はどこか曖昧に
なって来ていた。
そんなことよりリンデルは晋平が背負った過去の悲しみを取り去って癒して
あげたかった。
あくる日、学校が休みの日。晋平は昼過ぎまで寝ていた。
目が覚めて、あれって思った。
なんでリンデルが起こしに来ないんだ?って。
しばらくしてリンデルが晋平の部屋にやってきた。
「起きました?晋ちゃん」
「うん・・・まあよく寝た、けどリンデルなんで起こしにこなかったの?」
「無理強いしないことにしました」
「なに急に・・・不気味」
「それに昨日まで晋平って呼び捨てにしてたのに、なに晋ちゃんって、不気味」
「いいんです、呼びかた変えたかっただけですから」
「それに朝、急いでも慌てても晋ちゃんの根性が明日直ったりしませんからね」
「晋ちゃん、北風と太陽って知ってます?」
「絵本や本のことは無知だけどそれくらいは知ってる」
「あれと同じです・・・力ずくで思い通りにしようと思っても逆効果って
ことあるでしょ?」
「は〜じゃ〜俺に優しくしておだてて言うこと聞かそうって魂胆なんだ」
「魂胆ってなんですか・・・」
「私にだって日々心の変化はあるんです」
「なにがあった?」
「なにもないです・・・」
「絶対なにかあっただろ?」
「・・・・・・」
「言えよ」
「言ったら怒ると思うし、教えてくれた恵理奈さんにもご迷惑かけますから」
「恵理奈?・・・」
「ははあ、俺のことだな・・・俺の中学の時こと恵理奈から聞いただろ?」
「なんで分かったんですか?」
「恵理奈の名前なんか出したらバカでも分かるよ」
「それで?情にほだされて俺に優しくしはじめたのか?」
「だって晋ちゃん可哀想なんですもん・・・悪くないのに」
「いや、あれは俺の責任・・・」
「今更、そんな嫌なこと思い出せないの・・・忘れたいんだから」
「それもあるんですけど。もうひとつあるんです」
「なに?もうひとつって?」
「私、晋ちゃんのこと好きになちゃってて・・・迷惑かもしれませんけど」
「迷惑ね・・・そんなこと思うわけないだろ?」
「でも、私がいくら晋ちゃんに想いを寄せても晋ちゃんは誰も愛せないんでしょ?」
「そうだね・・・それはね」
「それはしかたないって思ってます・・・今はね?」
「でもいつか晋ちゃんの心の中の悲しみがなくなって私を愛してくれたらいいのに
なって思って・・・」
「急がなくていいから・・・ゆっくりでいいから」
「そんなこと言ってたらリンデル、一生天界に帰れないよ」
「もし、そうなってもいいです・・・私待つ覚悟はできてますから」
「そんなのプレッシャーだよ・・・優しくしてくれるのは嬉しいけど
俺の心の中にまで入ってこないでくれないか?」
「晋ちゃん・・・」
「もういいから・・・かまわないでよ」
晋平は恵理奈に自分の過去のことをリンデルに教えたことを怒った。
「なんで余計なことをリンデルに言ったんだよ」
「恵理奈が余計なこと言うからリンデルの態度が変わったじゃないか」
「俺を哀れんで同情で見てるじゃないかよ・・・あれは愛情じゃないよ」
「なに言ってんの・・・同情から愛に変わることだってあるの」
「もしかしたらこの先あんたの彼女なるかもしれない子だからね」
「だから、あんたのことは知っといたほうがいいの・・・」
「ちゃんと彼女を見てなさい、リンデルちゃんはあんたのこと同情なんか
じゃなくちゃんと愛情で見てるんだよ」
「あんたもさ、終わったことをいつまでも引きずって、彼女に知られたから
ってなにガキみたいにスネてるんだよ・・・情けないと思わないの?」
「恵理奈には俺の気持ちなんて分かんないんだよ」
「分かりたいとも思わないけど、自分のこと一生懸命想ってくれる人のことは
ちゃんと考えてあげなさいよ」
「誰があんたみたいな出来損ない心配してるくれる人がいるのよ」
「私は知らないからね・・・」
「戻ってこない過去にこだわって目の前にあるものを見失っちゃダメだよ」
「あんたがしっかりしないとリンデルちゃん天界に帰っちゃうよ」
「それでもいの?」
晋平はグウの音も出ないくらい恵理奈さんに心が痛くなるくらい真実を指摘
された。
(なんだよ、俺がしっかりしても、しなくてもリンデルは天界へ帰っちゃう
んじゃないかよ)
つづく。
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