第11話:朝の一悶着。
次の朝、晋平はリンデルに起こされた。
「晋平・・・朝ですよ、起きてください?」
リンデルの明るくて甘い声がして晋平が目を開くと目の前にリンデルの
可愛い顔があった。
「わ、びっくりした・・・近いって、リンデル顔が近いから・・・」
「鼻と鼻がくっつきそうじゃん」
「晋平を更生させるプロジェクトはもう始まってるんですからね」
「第一弾は規則正しく生活すること・・・だから起きてください?」
「プロジェクトって大袈裟な・・・頼むからギリまで寝かせてよ、ね」
「明日からまた目覚ましで起きます?」
「それとも私の甘くて可愛い声と目覚ましとどっちがいいですか?」
「めざまし・・・」
「もう、起こしてあげない!!・・・」
「毎日、無機質なめざましで起きたらいいんだよバカ」
「冗談だって・・・あのさ、できたら甘〜い声にチューおまけにつけてくれない?」
「いわゆるモーニングキスってやつ・・・」
「なに言ってるんですか・・・チューなんて?」
「私、晋平の彼女じゃないんですから公私混同しないでださい」
「つまんないな〜、楽しくやろうよ・・・べつに彼女とかじゃなくても
チューくらいしたって減るもんじゃなし・・・」
「そういうのは私が晋平の彼女になってからです」
「言ったね〜」
「え?それって、彼女になってくれる可能性あるってことだよね」
「言葉のアヤです・・・もしも、万が一ってことです」
「可能性なんてないと思いますけど・・・今のところは・・・」
「ほら、今のところはなんて思わせぶりに言うから、俺が調子に乗って
勘違いするんだろ・・・そう言う意味深なこと言うの直したほうがいいぞ」
「もう・・・ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う・・・天邪鬼」
「もうばっちり目が覚めたでしょ?・・・はいはい起きて起きて」
「あ〜あ、天使がやってきてウハウハだったけど、朝はな〜」
「まだ文句言ってるんですか?・・・その減らず口も直さなきゃですね」
晋平はリンデルとそんな話をしていたから、すっかり目が覚めてしまった。
だけど、リンデルの心が自分に動いてくれることは悪いことじゃないと思った。
さて、天使と言えど地上に降りて来たかぎりは人間の女の子と同じ。
女の子ひとりぶんの生活必需品は揃えないといけないわけで。
晋平はそのことに気づいて、ちょっとため息をついた。
なんでかって言うと頑張ってバイトで稼いだ金がリンデルの生活必需品の
ために飛んでいってしまうからだ。
リンデルが村本家にいる以上、ちゃんとしてやらないとだけど金銭的なこと
は良平と恵理奈には頼れない。
まあ、今はとりあえず俺の服を着せとけばいいだろうけど、それもいつまでも
って訳にもいかない。
晋平はもっとも肝心なことに気づいた。
「そうだ、リンデルの下着・・・どうしよう?」
「俺が直接買いに行ったって女物のパンツなんかレジに持って行ったら絶対
変態よばわりされるし・・・めちゃカッコ悪いし・・・だったらネットで
買うしかないか・・・」
「そうだ・・・ここは恵理奈に頼もう」
「リンデルを連れてブラとパンツを買いに行ってもらおう」
善は急げとばかりに晋平は恵理奈にリンデルを連れて彼女の下着を買って来て
くれるよう頼んだ・・・で、恵理奈は快く引き受けてくれた。
こう言うことは男はなんの役にも立たないって晋平は思った。
つづく。
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