第10話:最初の夜は同じベッドで。

「中学生の時の事故のことですか?」


「そうだよ・・・あの事故のせいで俺は誰も愛せなくなったんだよ」

「だから、いくらリンデルがエロい衣装着て迫って来ても俺にはなにもできないの」

「だからも妄想しかできないただのスケベなんだよ俺は・・・情けねえ」


「その事故の詳しいことまでは資料には載ってなかったですけど・・・」


「・・・・とにかく俺はリンデルにエッチいことなんかできないから安心しな」


「出来ないんですか?・・・あ〜・・・大っきくならないとか?」


「あのな〜そんな訳ないだろ?・・・朝、起きた時、バリ元気なヤツを見せて

やろうか?」


「え〜いいいです、べつに・・・見なくても?・・・キモいから」


「キモいってなんだよ・・・人の大事なものを・・・」


「それで、あの事故って具体的になんだったんですか?

「過去のことは思い出したくないんだよ」


「私、知りたいです、今後の参考のために」


「ダ〜メ」

「そのことをリンデルが知ってもどうしようもないことなの」

「だから、いいからなにもしないから俺と一緒に寝ろ」


「今からでもビジホに泊まりに行ってもいいですけど・・・」


「だから、言っただろ?俺のためにご奉仕に来た女の子をひとりビジホに

泊まらせるなんてそんなことさせられないって・・・」

「俺を信じられない?・・・俺に無理やり襲われるって思ってる?」


「今は思ってません・・・思ってませんけど、それならそれで、ちょっと・・・

期待はずれって言うか・・・」


「襲ってほしいのか?」


「微妙です」


「なにが微妙なんだよ・・・」


「訳分かんないこと言ってないで・・・このベッド・・・ここで俺と寝る」

「分かった?」


「分かりました」


「え〜と俺のパジャマがあるから、それに着替えな」


「このままじゃダメなんですか?」


「いいけど・・・その服のまま寝たらクシャクシャになっちゃうだろ、

着替えないと・・・」


「あ〜ダメダメダメ・・・女の子だろ?」

「俺の前で服脱いでどうすんの?恥ずかしくないのかよ?」


「別に?・・・私は恥ずかしくないですけど・・・」


「俺が恥ずかしいの・・・向こう向いてるからその間に着替えな」


晋平は遠慮してそっぽを向いてる間にリンデルはパジャマに着替えた。


「はい、いいですよ」


「わあ〜・・・男のパジャマ最強だな・・・めちゃ可愛いじゃん・・・

一緒に寝ようって言ったの撤回しようかな・・・これじゃ拷問じゃん」


「なにが拷問なんですか?」


「そのパジャマの格好で「さあ洗いざらい白状しなさい」って迫ってこられたら

抵抗しないで、すぐに白状しちゃうよ、可愛いすぎて・・・」


「え?そうなんですか?・・・じゃ〜ずっとこのままいましょうか?」


「昼間は普通の服に着替えようか・・・」

「じゃないと俺さ、ますます出来の悪いいけない男になりそう・・・」


「ダメですよ・・・出来が悪いところは私が治すんですから」


「冗談だよ・・・」

「いいから、おいでよ・・・ここ」


晋平にそう言われてリンデルは恐る恐るベッドに上がって晋平の横に寝そべった。


「お邪魔しますぅ」

「あ、晋平のスケベ臭がします」

「スケベ臭ってなんだよ・・・クンクンするな・・・」


「私、臭いの平気です、この臭でゆっくり眠れそう」


母親のいないリンデルはつい最近まで父親と寝ていたのだ・・・だから男の臭を

嗅ぐことが習慣付いていて男の臭を嗅ぐと眠れるみたいだ。


「え〜?変わってるな・・・俺はリンデルのいい匂いで眠れないかも」


晋平はかっこつけてリンデルに一緒に寝ろって言ったのはよかったんだけど、

彼女が自分の横に寝たせいで・・・自分が眠れなくなった。

今まで女の子が一緒に寝るなんてこと、そんな経験ないから・・・。


なんとも寝心地が悪いって言うかリンデルから終始癒しのいい匂いが漂ってくる。

その匂いを嗅いでると眠くなってきそうだった。


晋平はなるべく他のことを考えてリンデルのことは考えないようにした。

もし晋平がリンデルにエロい気持ちを抱いても晋平にはリンデルを抱けない

理由があったのだ。


晋平は中学の時の事故のことを思い出していた。

何年経ってもその出来事のことは鮮明に浮かび上がってくる・・・思い出したく

なかったが、忘れることなんてできなかった。

そんなことを考えてるうちに晋平はいつの間にか眠りに落ちていた。

リンデルの癒しの匂いのせいもあって・・・。


つづく。


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