第9話:言ってることが支離滅裂。

天使がなんて言ってた時は絵空事みたいだったけど、ここに来て一気に現実味を

帯びてきた。


村本家の家族の一員になったリンデル。

その日の、夕食もみんなと一緒にご飯を食べた。


「恵理奈さん・・・あ、お母さん、すごく美味しいです・・・こんな美味しい

おごちそう初めてです」


「褒めたって何にも出ないぞリンデル・・・せいぜいご飯がちょっと大盛りになる

くらいだな」


「晋平はもっとお母さんに敬意を持ちなさいよ・・・こんなにお料理がお上手

なんだから・・・」


「お〜リンデルだって知らない間に俺を呼び捨てにしてんじゃん」


「気づくのが遅いぃ!!それに私たち兄妹でしょ?」


「へいへい、おっしゃる通りでした」


「リンデルちゃんはいい子ね・・・もっと早く来て欲しかったわ」

「ボンクラ息子は母親のことなんか褒めたことないからね」


「クチに出さねえだけで感謝してるよ、男は余計なことは言わないもんなの」


「その割にどうでもいいことはいっぱい喋ってるね、晋平」


「リンデルはいいんだよ・・・これが俺のペースなんだから・・・」

「ごちそうさん・・・リンデル行くぞ」


「え?・・・どこへ?どこへ行くんですか?」


「俺の部屋・・・それとも、ずっとリビングにいるか?」

「どうぜ今夜リンデルは俺の部屋で寝るんだから・・・」


「晋平・・・あんた青少年保護法に引っかかるようなことするんじゃないわよ」

「リンデルちゃん未成年なんだから・・・」


「大丈夫だよ・・・なんにもしやしないよ」

「そのへんの分別は俺だってつくよ、ただのスケベだと思ったら大間違いだぞ」


「スケベはスケベなんだから・・・あんたに道徳もモラルもないでしょうが・・・

だから心配なのよ・・・あんたが犯罪者にならないかさ・・・」


「恵理奈・・・母親のくせによく自分の息子にそんなこと言えるな〜」

「もういいから・・・リンデルのことは俺に任されたんだから意見は聞かない」


「ほら、リンデル行くぞ」


「お母さん、お食事美味しかったです・・・ごちうそうさまでした」


「ほんとにいい子ねリンデルちゃんは・・・晋平と入れ替わって欲しいわ」


で、晋平はリンデルを自分の部屋に連れて行った。

晋平の部屋はガサツな性格もあってとても綺麗とは言い難かった。


「なんですか、この部屋・・・臭いし汚いし・・・」


「だいたい男の部屋なんてこんなもんだよ、部屋がめちゃ綺麗なやつなんて

信用できねえんだろ?」


「それにしたって・・・まずは部屋のお片づけからですね」


「部屋の片付けなんていいんだよ、片付けたって一週間も経たないうちに

元にもどるんだから・・・」


「それにしたって・・・私、女の子ですよ?」

「不潔なところでエッチするの嫌です」


「しょうがないだろ・・・綺麗に・・・・ん?今なんて言った?」


「私、なにか言いました?」


「今、エッチって・・・」


「なに言ってるんですか・・・いつもエッチいことばかり考えてるからそんな

言葉が出るんです」


「え〜まじか?・・・火の出どころを俺にするのか?」

「まあ、いいわ、ゴミに囲まれてカーペットの上で寝るわけじゃないんだから」

「俺と一緒にベッドで寝りゃいいの・・・それだと不潔〜って言わなくて

いいだろ?」


「え?私、晋平と一緒に寝るんですか?」


「あたりまえだろ?・・・俺とじゃ嫌なの?」


「だって・・・エッチなことされそうですもん・・・あんなことやこんなこと・・・

そんなことしたら私泣きますからね」


「まじでか?言ってることが支離滅裂」


「あのさ、俺のところにピンポイントで来たってことは俺のことある程度

調べて来たんだろ?」


「はい、一応は」


「俺の過去のことも?」


「中学生の時の事故のことですか?」


「そうだよ・・・あの事故のせいで俺は誰も愛せなくなったんだよ」

「だから、いくらリンデルがエロい衣装着て迫って来ても俺にはなにもできないの」

「だからも妄想しかできないただのスケベなんだよ俺は・・・情けねえ」


つづく。


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